タイトル通り、トランス男性(FtM)の自伝やエッセイの一人称を調べました。
すぐに確認できたのは、全部で14冊でした。記者・研究者・医師らのインタビューで成り立つ本は除外したので、意外と少ない。なお、一人で複数冊刊行している場合(虎井まさ衛さんや杉山文野さんなど)は、一冊だけ取り上げました。
【俺/オレ/おれ】
なんと0人でした!
幼少期の回想シーンで「おれは、男だ」などと自覚する場面では登場するのですが、自伝全体で「俺」を使っている人は見つからなかったです。
【僕(漢字)】8人
岩村匠『性別不問。―――「性同一性障害」という人生』成甲書房、2003年
山本ヒカル『ニューボーイ』文芸社、2003年
前田健裕『あなたが「僕」を知ったとき―――性同一性障害、知られざる治療の真実』文芸社、2009年
浅沼智也『虹色ジャーニー―――女と男と、時々ハーフ』文芸社、2019年
前田良『パパは女子高生だった―――女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ』明石書店、2019年
杉山文野『元女子高生、パパになる。』文藝春秋、2022年(※『ダブルハッピネス』は今回確認できていませんが、それも「僕」だったと思う)
勝又栄政『親子は生きづらい―――“トランスジェンダー”をめぐる家族の物語』金剛出版、2022年
【ボク(カタカナ)】1人
安藤大将『スカートをはいた少年―――こうして私はボクになった』ブックマン社、2002年
【ぼく(ひらがな)】1人
諭吉『ぼく、長女です。』ヨシモトブックス、2010年
【私】4人
流星『私と僕が生きた道―――性同一性障害と向き合った29年』幻冬社、2010年
遠藤まめた『オレは絶対にワタシじゃない―――トランスジェンダー逆襲の記』はるか書房、2018年(※回想シーンでは「おれ」と「自分」も出てきますが、ベースは「私」)
五月あかり、周司あきら『埋没した世界―――トランスジェンダーふたりの往復書簡』明石書店、2023年(※周司あきらの記述は「私」。この本は自伝ではなく往復書簡ですが参考までに)
感想
「俺」がもっと多いかと思っていたので意外。たぶん算出方法が悪い。
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