フェミニズムでは、女性が婚姻制度のもとでいかに抑圧されているか言及されてきた。
例えば、
・婚姻制度のせいで女が分断されている。妻である女性は守るべき「正しい女」扱いする一方で、それ以外の女(非婚の女、レズビアン、セックスワーカーなど)は「悪い女」として懲罰を受ける
・資本主義経済では、妻が無償の家事労働を担うことが前提である
・夫に性的に尽くすべきだという規範がある
などが、女性側の不利益として挙げられる。
では、婚姻制度に乗っかる男性は、いったい何の利益を得ているのか。
男性学や批判的男性研究(CSM)ではこの部分を分析するべきなのだろうな。
・心理的・経済的な側面では、「働いていればいい」との意識のもと、ケアレス・マンでいられる。つまり家事・育児の責任を負わず、そのことを意識しすらせず過ごせる特権がある。
また、以下2点は制度的な男性特権の最たるものである。
・父権
:日本では天皇制のお墨付きもあり、婚姻制度では基本的に男性が世帯主である。婚姻しても9割の男性は苗字を変えず、男性側のイエが継がれる。
(婚姻制度外で女性が独りで死産したら罰せられるが、子の父親に当たる男性はお咎めなし。一方で、)離婚後の共同親権推進派の動きに見るように、妻や子が望まずとも父親の権利・権威を発揮しやすい制度設計である。
・夫権
:文化圏により異なるが、妻を外出させなかったり、妻の財産を管理したりするのも夫の役目だった。現在日本でも、夫妻のうち夫が優先的に扱われる機会は多い。
思いつきなので、もっと沢山あるはず。
このテーマの掘り下げが必要だと感じたのは、LGBTQの政治が同性婚の法制化(婚姻の平等)に偏っている、との批判を見たときなので、同性婚との相違で捉える必要も出てくるだろう。